人としての、有限の時間。それに自覚を持っていること。
自分の人生はほんの一瞬で終わってしまうのだと、あっけなく終わってしまうのだと、他者の死を通じて悟るときが必ず来る。そのとき、私たちは自分の生き方について深く考え始める。その有限の時間をどのように過ごすべきか、どのように生きるべきかを模索する。短い命の中で、自分が何を成し遂げたいのか、大切な人たちに何を残したいのかを考えるようになる。
彼らもそうだったはず。
人としての、有限の時間。あなたの存在を大切に思う人が必ずいる。
その人たちと共に過ごす時間が、あなたにとっての生きる意味を見つける手がかりになるかもしれない。そして、あなたが思っている以上に、あなた自身が誰かにとっての「生きる意味」になっている。
旅の終わりが見え始めてきた。
どこまでこのまま行けるか、島の最南端に近づく最後の日となった。景色は今日もあっという間に霧がかり、静かに誰かが呟いた。「こんなにも美しい場所で、こんな風に時間を過ごせることに感謝したい」その言葉に、私も頷いた。
島の最南端に近づくにつれて、私たちもまた、旅の終わりを迎える準備をしていた。
カナダに来る前から、みんなに秘密にしていたことがあった。
打ち明けたのは、旅が始まって13日目の朝だった。
それは帰る前日のキャンプ地、ローズハーバー。
ここには住人が3人居る。そのうちの二人、スーザンとゴッツの家がある。
村田の遠征時から親交のある二人だ。
そして、3人目。フランシス。彼女がスーザンから受け継いだ新たな宿がある。
ここに泊まることをみんなに告げていなかった。
彼女たちのサポートを受ける。そうみんなに打ち明けた。この計画が今日まで、鮮やかな自然の中で過ごしてきた彼らの邪魔になるかと心配もしていたが、みんな喜んでくれた。そうなってくると、今日のやるべきことが決まる。
各自が思い残すことなく、この自然との時間を楽しむこと。
そして明日の会場への移動に向けて、荷物を整理しておくこと。
買っておいた白ワインを明日のディナーまで我慢すること。
弊社ではCookieを使用してWebサイトのトラフィックを分析し、Webサイトでのお客様の体験を最適化しています。弊社によるCookieの使用に同意されると、お客様のデータは他のすべてのユーザーデータと共に集計されます。